ノスタルジ~~~
シャニマスイベントシナリオ「感光注意報」を読みました。
最近顕著に伸び続けていたシナリオボリュームから一転、今回のシナリオはコンパクトにまとまっていて気軽に読めるのも良いところ。しかし短いからと言って手抜きかと言われれば決してそんなことは無く、余韻を味わうノスタルジックで少し大人向けの作りとなっています。過去のシナリオに照らし合わせるなら、イルミネの「曇りガラスの銀曜日」が近いでしょうか。
シナリオのモチーフとなるのは数枚だけ撮影回数が残ったフイルムタイプのインスタントカメラ。店頭で現像依頼をしている描写からも、ポラロイドカメラの様なその場で現像されるタイプでは無く、具体的には写ルンですのようなレンズ付きフイルムと思われます。
懐かしい...。レンズを覗き被写体をフレームに収め、右手親指部分のダイアルでフィルムを巻き上げて人差し指でシャッターを切る。シャッター音は「カシャッ」と言うカメラらしい音では無く、プラ板を指で弾いた感じの小さく乾いた音。ストロボフラッシュを起動する時にはチュイーンという絶妙なチャージ音もしていた記憶がある。
ストロボ音は別としても、シャッター音はライカモデルのような「カシャッ」という音が好まれているらしく、現在のデジタル一眼レフなんかでは静音性よりも「カメラらしい音」を求めてシャッター音を作っているんだとか。自分の持ってる安物でも確かに「カメラらしい」シャッター音が鳴る。スマホで写真を撮るにしたってデフォルトで選択できるシャッター音に「カシャッ」という音が無い方が珍しいのではないだろうか?
そんな思い出に浸りながらコミュを読み進めている内に残酷な(?)現実を突きつけられることになるとは思うまい...。
霧子「―――……撮った......んですか......?」
( ^ω^)・・・
(´;ω;`)ブワッ
そう、幽谷霧子17歳はインスタントカメラのシャッター音を知らないのである(泣)
自分が30過ぎのおっさんだから忘れていたが、今の未成年にとってインスタントカメラなんて見たことも無い人の方が多いのだ。フィルム写真と言えばその場で現像できるチェキくらいのイメージなのかもしれない。
少し調べてみるとフィルムカメラの需要は2000年をピークに右肩下がり。下がるどころか2006年からは断崖絶壁レベルの下落になっているようだ。
シャニマス世界では歳を取らないと明言されているので、リリース時の2018年を基準にすれば17歳の霧子は2001年生まれ。売上げ断崖絶壁の淵にある2006年の時点で5歳と考えれば存在自体を知らなくても無理はない。そして同じことがプレイヤー側である我々にもそっくりそのまま適応されてしまう。今年20歳を迎える現役大学生付近にとっては今回のシナリオを読んだ際の反応は霧子側、30歳付近のおっさんにとってはシャニP側になってしまう。なんて恐ろしいんだ…。
冒頭からノスタルジックな雰囲気とか書いてしまったが、ノスタルジックという言葉自体が生まれ育った環境や世代に大きく影響される言葉だ。セピアカラー使っておけばいいと言うものでもない。
シャニマスライター陣はこういう絶妙なすれ違いを書くのが上手い。本人にしか分からない、本人でも気づけないと言った趣旨のコミュは多く、有名どころでは「チエルアルコは流星の」だろう。みんな大好きチエルアルコおじさん怪文書()
あるアイドルが感じた気持ちがそのアイドルにしか分からないように、あるPが感じた気持ちはそのPだけにしか分からない。それがノスタルジーなのか新鮮な出会いなのか、図らずもそんな問いかけをされているような不思議な気持ちになる良いコミュでした。
銀曜日も大好きだし、こういうタイプのコミュもっと供給してくれても良いぞ!
ではでは