マトリフ......。お前ってやつは......。
「ダイの大冒険 勇者アバンと獄炎の魔王」の5巻を読みました。
本作は現在アニメも放映中のマンガ「ダイの大冒険」のスピンオフ作品で、ダイの師であるアバンがまだ若く、ハドラーが大魔王を名乗って地上征服をもくろむ時代を描いています。
原作ではアバンの代名詞とも言えるアバンストラッシュですが、本作中では未だ未完成の状態。原作を踏まえて考えるならば、アバンストラッシュを修めるためには力の大地斬、速さの海破斬、そして心の空列斬の3つを要素を極めるのが必須となりますが、本作のアバンは3つめの空列斬を未だものにできていません。
そこで今回訪れたのが大魔導士マトリフの故郷である秘境ギュータ。
そこはかつて世界最高の賢者と呼ばれ、マトリフの師でもあるバルゴートが気づき上げた修練の地。魔法の身ならずあらゆる剣術・体術の達人たちが日々己の技を鍛え、伝え続けてきた本物の秘境でした。
いやー、このギュータの造形や村の在り方がめっちゃドラクエ~~~~って感じして良いですね! 階段の作りとか村人の生活風景、修練場での対戦風景までドラクエの世界観がばっちり感じ取れます! なんならもうBGMとか聞こえて来るかのような作り込みに感激。
そしてスピンオフ作品ならではの醍醐味とでも言いますか、原作へと繋がる数々の小ネタが仕込まれているのも大好きです。
マホカトールといえば原作ではアバンが得意としており、初登場時にデルムリン島を全体に張り巡らせた破邪結界呪文でしたが、実はギュータの秘伝書で初めてその存在を知ったことが描かれています。他にもマトリフやポップなどの魔法使い組にとっては因縁深いまぞっほの過去や "あの" 名台詞の由来が語られたり、原作ではかつてのハドラー戦で使われたとごく僅かな情報しか明かされなかった "凍れる時間の秘宝" の存在も初お披露目。
原作の三条陸先生がぜひ書いて見たかったと言った理由がこれでもかと言うほど詰め込まれているので、ダイ大ファンの方にはぜひとも読んでいただきたい1冊です。
それにしてもマトリフにはドラマがありますねぇ。凍れる時間の秘宝が出てきたという事は、やはりゆくゆくはハドラーとアバンが対峙し、己の無力さを呪って編み出した "あの" 最強の呪文にたどり着くシーンもいつか描かれると言うことでしょう。ロカとの名コンビも頼もしく描かれてはいるものの、その先を知っている原作ファンからすれば胸が苦しくなるというもの…。
王道を往く魔王討伐ストーリーはかく在るべしという原作を上回る熱量で描かれる本作の続きが気になってしかたがありません。次の6巻は12月発売予定との事で今から待ち遠しいです!
人生はRPGだぜ!
ではでは