富樫は天才。
先日4年ぶりの連載再開を果たしたHUNTER×HUNTER 37巻 を読みました。
4年ぶり、、、4年ぶり!?と言うのが正直なところで、読み返してみても王位継承戦の内容もかなり覚えていて安心しました。これだけ複雑な話に筋を通せる富樫の才能が恐ろしいホイ!
という訳でコミックス37巻はカキン王国王位継承の真っただ中。ジャンルと言えばバトル漫画に属するとは言え、「文字が多すぎる」でお馴染みの当シリーズは個人的に大好きです。キメラアント編が戦闘面に振り切っていたものの、ハンターハンターの面白さは各自が取り組む仕事の一部としての念能力にあると感じています。
この世界で協会に所属するハンター(念能力者)の多くは「○○ハンター」のように成し遂げたい○○という目的をそれぞれが持っていて、その目的に特化した能力を習得しているんですよね。
37巻で出て来たキャラで言うと「ミュージックハンター」のセンリツでしょうか。彼女はヨークシン編で初登場した放出系の能力者で、当時はこんな非戦闘向きの能力者もいるんだなー程度に感じたキャラの1人でもありました。当時使っていた能力も音に癒しのオーラを乗せて飛ばしたり、心音から相手の思考を読み取ったりと後方支援がメインだと思っていました。
しかしこの巻で見せたのは、得意のフルートを全力で演奏することで3分間音の世界に引き込み意識を絶つという驚異の能力!3分あればなんだってできるわ!
少なくとも今回の描写からは対面で演奏を聴かせなくても、館内放送で聴いた全員に作用しておりその効力は絶大。一応イヤホンで他の音楽を流していれば回避できているようですが、そうと知らなければ回避は困難かと。問いかけが制約になるタイプの能力者も多いので、仮に知られていたとしても能力を封じるだけの力があるって事ですよね。パーティに絶対いて欲しいタイプ。
その一方でセンリツ自身は呪いの楽譜に身をむしばまれた被害者の1人で、ハンターとしての目的はその楽譜を見つけ出してこの世から消し去る事。そもそもクラピカや旅団(の一部)、ゲンスルーのように対人戦を意識して会得した能力ではないものを応用してくるのは読んでいてワクワクせざるを得ませんね!
放出系と言えば今日発売のジャンプ掲載分では異空間に引きずり込む能力者が出てきましたが、操作系以外でもあたりは条件次第で即詰みになる展開は恐ろしい。今までの放出系っていうとフランクリンやレイザーみたいな強力な念弾を撃ち込む系統のイメージが強かったので、また能力解釈の幅が広がった感じがあります。ちなみにキメラアント編に出て来たノヴさんは具現家系で放出系とは正反対の空間能力者。念能力、奥が深い(第4王子もにっこり)。
そして何といっても王位継承戦の魅力は第1~14までの王子が繰り広げる政争。特に面白いと感じているのが各王子の掲げる理念・理想で、誰の思想もある面では正しく思えるのに、誰もが歪んだ思想になっている所でしょうか。このあたりの描写は富樫以外の誰にもできない作風だなーと再認識。
強硬派路線で武闘派だが合理的判断をする第1王子ベンジャミン、穏健派路線から不退転の覚悟で革命を目論み力に覚醒した第9王子ハルケンブルグあたりはまだ分かりやすい方で、明暗の政治力を使い分けてマフィアと癒着してでもしたたかに王の座を狙う第3王子チョウライ、反抗する者には一切の慈悲を与えないが(利用するためとは言え)誰もが存在自体を許さなかった不可持民に地位と権利を与えた第2王子カミーラあたりはある意味では支持者の多い王の器を感じさせます。
第4王子は虐殺趣味な上に念能力の素質は天才級、第5王子は割と生真面目、第6~8は表立った部分にボロが目立つ者の国の在り方(治め方)としては一理あるとも感じます。
王位継承戦が始まる前までは選挙戦をシナリオに持ってきているくらい幅の広い物語なので雑にバトル漫画として括ったり、この念能力使えねぇ~みたいな決め打ちをすると後々評価が大きく変わるのも面白いですね。
作者の体調がヤバそうという話は本人のTwitterからも伝わってきますが、面白さという一点に王手は他の追従を許さない絶対的なモノがあるのは間違いないので連載が続くことを祈っています。。。まずは来週のジャンプが楽しみです!
ではでは