4画面の雑記帳

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イベントシナリオ「私たちのためのフレーズ」を読んだ

再定義、私達の幸福論。

 

 

現在開催中のシャニマスイベントシナリオ「私たちのためのフレーズ」を読みました。簡単にではありますが、今日はこのシナリオについて触れて行きたいと思います。

 

今回のシナリオを読んで強く感じたのは原点回帰と言うか、5年間かけて成長してきたアルストロメリアというユニットがスパイラルアップして最初の自分たちを俯瞰視しているような不思議な感覚でした。

3月に5thライブを控えるシャニマスは現在5年目の終わりに差し掛かっており、初期4ユニットのイルミネ、アンティーカ、放クラ、アルストにとってはそろそろユニット活動も成熟期に入って来たといったように感じます。(たぶん)アイマスはどのブランドでも同じ課題にぶつかる事が多いのですが、ある程度プロデュースが進んでくると新たに挑戦すべき課題が高難度になり過ぎて超人化してしまうという現象があり、丸々5年の歳月はともすればアイドル達の超人化により行き詰ってしまうタイミングでもあります。

 

そんな背景を感じつつ今回のシナリオを読んでみると、シナリオ描写が生々しすぎると評判のシャニマス君にしては非常に穏やかで、よく言えば安心して読み進められる、悪く言えば大きな動きは無かったとも言えそうです。しかしそこは事前登録からのシャニマスPである自分から見れば1年目のシャニマスシナリオって大枠ではこんな感じだったな~という懐かしい気持ちが蘇るものでした。

シャニマスのコミュは高頻度で業界の裏側みたいな楽しいだけじゃないアイドル活動や、触れれば今にも崩れてしまいそうな関係性に触れていますが、何もリリース直後からこんな尖ったゲームだった訳ではありません。こうした要素をシナリオに盛り込み始めたのは公式自らが「挑戦の年」と銘打ったリリース2年目からの事です。

1stライブを終えた直後に実装開始された新ユニットであるストレイライトは迷光を身に纏うカリスマアイドル。しかしその実態はアイドル活動としての露出部分と1人の人間の内面で表裏のあるメンバーたちで構成されており、彼女たちの成長を追うとなった時点で新人アイドルが頑張って上を目指すというテンプレだけに収まらない事は確定していたようなものでしょう。

初期4ユニットもまずは感謝祭編で強めのジャブを、続く各ユニットシナリオでハードパンチの洗礼を受けることになります。3年目ともなればシナリオのパンチパワーは致命傷レベルまで高められ、アルストロメリアとしてはかの有名な「薄桃色にこんがらがって」がこの年の作品です。王道アイドル成長譚ストレイ3部作が完結(?)したのも3年目の末でしたね。

しかしハードパンチを打ち続けるためにはどっしりとした基礎と体力づくりが必要不可欠。シャニマスで言えばユニット内外の関係値や各アイドルの思考が定まっていてくれなければ迷子になってしまうでしょう。そういう意味では1年目をいわゆる王道アイドルものとして緩く展開させ、キャラ同士の組み合わせを絞ったユニット制で関係値を効率的に高めてきたのは短期間での基礎作りに適していました。やるじゃん高山!

 

緩く始まった1年。ハードにこなした2~5年目。その5年目が終わりに差し掛かった今のアルストが受けた仕事は、AIに自分達(アルスト)の歌やダンスの特徴を学習させて成長の過程を視聴者たちと共に見守るというもの。

シナリオのオープニングで仕事の打診があり、第1話では担当者と最初の打ち合わせ。実はちょっとここで個人的に手に汗握る展開がありました...

 

 

おい!!!!

 

また争わせるのか?体が闘争を求めているのか?薄桃色の再来か!?!?

そう思って震えた次の瞬間

 

 

よかった~~~~~~~~~!!!!!

 

いや本当に「薄桃色」は大好きなんだけど心臓を直に握られてる感覚があって新年1発目としては重すぎる。元旦0時更新ってどうなってんだとバンナムさんに問いかけたい気持ちは抑えて先へとと見進めます。

 

シナリオ中では現実世界のアルストロメリア本人たちを「オリジナル」、オリジナルのデータを元に学習したAIがSDキャラを動かして歌って踊るものを「AIストロメリア(あいすとろめりあ)」と呼んでいます。

学習AIと言えば霧子LPの霧ちゃんを思い出しますね。オリジナルとは何なのか、どこからがオリジナルでどこからがAIなのか。そんな問いが霧子LPではあったように思いますが、今回のAIストロメリアでは最初から一貫してオリジナルとAIストロメリアは別路線で別の存在として扱われます。これは制作サイドもPもオリジナルの彼女らも納得の三者合意。これがあるだけですっごい安心できる!

学習させるデータが古いとターンのタイミングが少し早いみたいな気づきがあり、オリジナルは過去の自分を見つめる機会に、AIの方はさらなる学習データの更新に繋がるWin-Winの関係。そして物語後半で描かれるのはAIの個性とも呼べる学習の癖についてでした。

実際にどのような判定基準を持つAIなのかは分かりませんが、どうも3人ユニットの中で入力値が割れた際には中間値や平均値を出力する癖のあるもののようです。AIストロメリアに歌わせるための歌詞を書いたオリジナルの3人は当然ながら人間で、双子の大崎姉妹でさえその性格や思考は異なります。プロの作詞家はオリジナルの3人がそれぞれ出した歌詞の個性を消さずに1曲にまとめあげ、一方のAIストロメリアは平均値でまとめあげる。

この違いは3人で1つの幸福論を見出してきたアルストロメリアにとっては結構重要なんじゃないかと感じます。というのも挑戦の年である2年目初っ端の「感謝祭編」でぶち当たったのがハッピーエンドの先を考えるという課題でした。3年目の「薄桃色」では勝者と敗者が絶対に出てしまうオーディション対決。特にオーディションの合格枠が1人だけと決まっているからにはどっちも頑張ったから同率優勝みたいな事はあり得ません。そこに解を見出したからこその5年目の現在があるのではないでしょうか?

それでもオリジナルの彼女らはAIストロメリアを否定することはありませんでした。ただただ可愛い、愛らしい存在だと。そこにはもしかしたら有り得たかもしれない別のアルストロメリア像をみていたのかもしれません。

僕の頭によぎったのはGR@DATE WING 05のガルディエーヌシリーズでした。

 

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このシリーズはゲーム内SSRに登場するものですが、過去のSSRシリーズが一部登場し、その光景を背中に羽が生えた彼女たち自身が見つめるというストーリー仕立てになっています。この演出めっちゃくちゃ好きなのでぜひ見て欲しいのです。そしてこの光景が今回のシナリオそのものと言っても過言ではないでしょう。

GW05のジャケットイラストは地上から天に落ちる不可思議な光景。解釈にもよりますが、個人的には地上にいた頃の自分にはどう頑張っても戻れない、それでも視座は高くなり成長しているようにも見えます。

それならば今はまだ入力値の平均しか出力できないAIストロメリア、もしくは平均値で勝負できるAIストロメリアをどこか懐かしく、しかし決して今のオリジナルとは重ならない別の存在として認めたシナリオだったのかなと思います。原点回帰ではなくスパイラルアップ。己を俯瞰視するためのワンステップの物語だったかと。

 

3月の5thライブから続く6年目のシャニマスが今後どう舵を切っていくのかにも注目したいですね。楽しみです。

 

ではでは