窓越しの日光浴ってどうなん?
昔から朝弱いので、起床後は可能な限り日光を浴びるようにしています。なんとなく目が覚める気持ちはあるけど、夜更かしやめたり前日に激しい運動した翌朝の方が目覚めは良いので小手先でどうこうできるもんでもなさそうな感じ。
日光浴と言うと体内時計のリセットやセロトニン分泌量の変化などの効果も聞きますが、ビタミンDの生合成という重要な側面もあります。本当は冬季鬱みたいな内容を調べたかったのですが、あまり信憑性の高いデータが見つからなかったので今回はビタミンD関連で気になった事をちょろっと調べてみました。
起床後に日光を浴びると言っても温かい季節ならベランダに出てますが、最近のような真冬はカーテン開けてガラス越しに光を浴びてるだけです。ふと気になったのがガラス越しの光って意味あるのか?
透明に見えるガラスでも可視光を透過してるだけで、紫外線などの短波長帯はほとんど吸収されています。光学測定で石英ガラスを使うのは170nm程度まで吸収帯が無いためですよね。普通の窓ガラスに使われているものでも深刻な日焼けを起こすようなUV-Bはほとんど透過しないようです。
じゃあビタミンDってどの波長吸ってるの?という所が気になった点。
まずビタミンD(正確にはビタミンD3)と言うと必須栄養素の中でも光を浴びないと体内で合成されないというちょっと面倒な子として知られています。
この子が皮膚で合成される過程を調べるとこんな感じ↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhs1956/31/3/31_3_156/_pdf/-char/ja
あー、光反応と熱反応を両方伴う異性化だ。とは言え熱の方は体温でどうにかなりそうなので光の方だけ注目してみましょう。文献を読み進めるとビタミンD3前駆体(7-DHC)に異なる波長の光を照射した際のビタミンD3合成収率が載ってました。
合成7-DHCのデータが黒丸、ラット皮膚のデータが白丸のプロット。若干のズレはあるものの、収率最大は300nm前後にあり、ピークの長波長側では収率が急峻に下落、340nm付近まで来るとほぼ合成されないデータとなっています。
先ほどのガラス透過波長データをもう一度見て見ると、ガラス越しの光ではビタミンD3合成には全く関与できていないっぽいですね。まぁ、構造見た時からそんな気はしてたよね。発色団があるわけでもないんだし...。うまく調べられなかった体内時計関連は可視光域で起きるんでしょうか?気になります。
また、別の文献では白人から黒人まで光に対する肌の敏感性を6つのタイプに区分しており、日本人の多くはスキンタイプⅢとのこと。最も白い肌をもつ人たちと比べると1.5倍ほど光に鈍感、もっとも黒い肌を持つ人たちと比べると3倍ほど光に敏感。まぁ黄色人種だなーという感覚で理解しやすいかな。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/94/9/94_469/_pdf
さらに読み進めてみると、つくば、北海道(落石岬)、沖縄(辺戸岬)のUV照射量にあわせてビタミンDを10 μg生成するのに必要な時間のグラフが載っていました。グラフ内の破線600 cm²は長袖・長ズボンの服装、1200 cm²は半袖・半ズボンの服装に相当します。
同様の研究報告は他にもあり、具体的な値を表にしているものをもう1つ引用↓
表1.10 μgのビタミンDを生成するのに必要な時間
日光浴のみで1日に必要なビタミンDを生成するには冬のつくばで41分。関東住まいなのでざっくり同じくらいかかりそうですね。これ仕事で外歩いてる人でもなければ厳しいな?寒がりなのでマフラー・手袋、最近はマスクもしてるから日に当たる面積は600 cm²よりもっと少ないと思うし...。
食品だとしらす、焼き鮭、いわし、秋刀魚、鯖なんかがビタミンD豊富だと挙げられてますね。サプリって言う手もあるけど、まずは鮭フレークでも食べてみますか。
長くなりましたがこの辺りで
ではでは