霊的なアレじゃなくてですね。
今日は関東地方に春一番が吹いたらしいです。干していた洗濯物がはるか遠くに吹き飛ばされていたのでニュースを確認したら案の定吹いてました。もっと平和な訪れにしてくれてもいいんだよ?
さてタイトルにも書きましたが、春一番を "視た" ことはあるでしょうか?僕は有ります。あ、霊的なアレとか宗教的なソレとかじゃないので安心してください。
僕は大学時代にヨット(ディンギー)に乗っていたのですが、マリンスポーツ全般の用語として風の強く吹いている部分をブロー(blow)と呼びます。海面は無風であれば非常になめらかで鏡のようにつるつるして見える程です。そこへ風が吹き込むと海の表面がさざ波立ち、ごく僅かではあるものの高さを持ったギザギザの海面へと変化します。これを遠目で見ると、さざ波の高さの分だけ影が見えるため海面が濃く見える=ブローが見えるなんて言ったりするわけです。
画像はちょっとヨットビーチクラブさんから
お分かりいただけますでしょうか?
本当は自分で撮ったものがあればよかったのですが、どれも分かり辛かったのでネットから引用させてもらいました。画像の奥方向が色の濃い海面=ブローになっており、手前側で風の弱い部分(ラルと呼びます)との境界線がきっちり見えています。
いや、実のところ見えるかどうかって慣れや訓練が必要なので、伝わっているか自信ないです...。僕も初心者の頃はなかなかブローの感覚がつかめずに苦労したのでうまく伝えられる自身は有りませんが、風が強く吹くほど色濃い海面になるという部分だけ伝わっていると海を見る視点が増えてちょっとだけ楽しくなるかと思います。湖とかだとブローの境界線はさらに分かりやすいですね。
さて話を戻して我が家の洗濯物を吹き飛ばしてくれちゃった春一番についてですが、その正体は日本海側に陣取る冷たく重い低気圧を押しのけるほど強力な太平洋高気圧です。そりゃ暴風にもなるわ。
内陸に住んでいる場合には気づいたら突風が吹いて春一番となるわけですが、海岸から海を眺めていると春一番が "視える" 時もあるのです。そう、今まさに太平洋高気圧が押し込んでくる最前線、恐ろしいほど真っ黒に海面を染め上げた超強力なブロー「春一番ブロー」です。
もう10年以上前の話ですが、春一番の強風が来ると天気予報があったので船回りの固定を確認しに言った所、偶然にも春一番ブローを沖に見つけてしまいました。意外と足並みは遅いんだなぁとか思って眺めていましたが、ブローの境界線を越えた瞬間のド強風は忘れられません。これが...春一番...。バトル漫画だったらここで息絶えるモブの気持ちがよく分かります。計測上は30m/s弱吹いてたらしいですよ。20m/s越えたら風上に向かって歩くのは困難っていう目安を考えるとコワイデスネー()
年によって春一番の強さは変わってきますが、自分の中ではあの時の春一番ブローを "視た" 記憶が毎年脳裏をよぎります。海面のさざ波として間接的に視ているだけで実際には遥か上空まで風は続いているので、なんらかのセンサーを使って可視化してやれば寒気と暖気の押し合いがド迫力で観れるかもしれませんね。そんな未来があるとちょっと楽しいかも?
春一番が吹いたと言っても寒気と暖気の押し合いはまだ続くので、本格的に温かくなるのはもう少し先の話になりますね。寒いのは苦手なので早く温かくなって欲しい…。
ではでは