4画面の雑記帳

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深緑野分(原作)、空カケル(マンガ)「この本を盗む者は」を読んだ

劇中劇とはまた異なる不思議な世界観。

 

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先日ジャケ買いした「この本を盗む者は」を読みました。

本作はデジタル小説誌「文芸カドカワ」で連載、本屋大賞にもノミネートされた小説作品を原作としたのコミカライズとなります。ジャケ買いなのでこうした情報は一切知らない状態で手に取りましたが、何と表現したらいいか分からない不思議な世界観が魅力的でグイグイと惹きこまれる面白さがありました!

 

本作の舞台は書物溢れる本の町 "読長町" 。その中でもひときわ名高い蒐集家として知られる御倉家に生まれた高校生の深冬が主人公となります。

彼女から見て曾祖父の代からの莫大な蔵書を誇る書庫「御倉館」には貴重な書物も多く残されていることから窃盗にあうことが悩みの種となっていました。そうした経緯から今では数々の防犯システムが導入されていますが、その中でも奇妙な御札を使った防犯用の呪いブック・カースが施されており、突然の盗難騒ぎに居合わせてしまった深冬はこの不可思議なブック・カースに呑み込まれていくのでした...。

 

ざっくりした概要はこんな感じとなっていますが、やはり注目したいのがブック・カースという謎の呪いです。この呪いは本を盗んだ者を始めとして読長町全体を本の世界にそのまま引きずり込んでしまう、というか読長町で本の話を再現するという大変迷惑(?)な呪いとなっています。しかも窃盗犯を見つけ出さないと永遠に本の世界に閉じ込められる系。深冬からしてみれば迷惑も良いところですが、この本の話を再現するという部分の表現が大変魅力的でした。

異世界転移ではないし劇中劇でもない、完全に知らない世界に迷い込んでしまったかと言われると見知った顔の町人が知らない役を演じているという違和感。それでいてテンポよく進む迷い込んだ本の世界のシナリオ。敢えて言うなら銀河鉄道の夜っぽさがあるかも?(今のところバッドエンドじゃないですが)

 

現実世界と本の世界が絶妙なバランスで融合した状態として描かれており、言葉ではなかなか伝えきれないのでぜひ手に取ってもらいたい1冊です。2巻が出たらまた買って読みたいですね。

 

ではでは