4画面の雑記帳

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アサウラ「リコリス・リコイル Ordinary days」を読んだ

さかなー!(←アニメで1度しか言ってないのにやたらと記憶に残る台詞(本作には当然のようにこの台詞は出てきません))

 

dengekibunko.jp

 

少し前の話になりますが、アニメ「リコリス・リコイル」のノベライズにあたる「リコリス・リコイル Ordinary days」を読みました。

中綴じのイラストはこんな感じ↓

 

アニメ版では主要登場人物の関係値変化に焦点をあてたストーリーになっていましたが、ノベライズ版のこちらは既に喫茶リコリコとして成立した関係値は変わらず、日々の極々普通な生活を切り取った作品となっています。普通の生活を切り取っただけなので、銃も薬物も出てきません。だって日本人は規範意識が高く、優しく温厚。世界で最も平和な法治国家が舞台なんですから危険なことなんて一切書かれているはずがありません!!!!!

 

 

と言うのはラジアータによる情報操作を受けた人たちの認識ですが、なぜか情報統制にかからない読者視点からは違う姿も見える...はず...。ちなみに中綴じイラストに出ている5人は登場しますが、真島さんやロボ太登場しません。まじロボ派のみなさん、残念ですがさようなら…。

代わりという訳ではありませんが、本作を動かしてくれるのはアニメに登場しないオリジナル常連客達が千束やたきなと交流する中で発生するイベントです。明るく楽天的な千束と几帳面で融通の利かないたきな。この2人がいるだけでどんな局面でも話がポンポン進むので、読み進める方としてはあまり構えずに手に取れるのも良いところ。

本当にたわいもない話を千束が面白半分で盛ってみたり、これは夢だと分かっていても明晰夢の中でさえ律儀にDA関連の仕事をこなすたきなだったり、激しい銃撃戦をたやすくこなす優秀なバディだったり、要・ラジアータ案件を秘密裏かつ迅速丁寧に処理してみたりとバラエティ豊かなラインナップになっています。それでいて単話完結でなく1冊の中で繋がりもしっかりと描かれているので読みごたえはあるかと。

 

 

個人的に特に面白かった点をネタバレしない程度に2つご紹介します。

 

リコリスの装備や制服の機能

ここでいう機能というのは物理的な装備としての機能と、制服を着た女子高生姿の都市迷彩としての機能の両面を指します。

まず物理的な装備面としてはアニメでも登場している通り、リコリスが背負う鞄は銃を携帯するための特殊仕様。銃本体以外にも替えのマガジンや拘束用の特殊装備も入れることができ、鞄本体が銃撃戦では盾の役割を担う程の耐久性を持つだけでなくエアバッグの様なギミックまで仕込まれているなど様々な機能てんこ盛り状態となっています。本作ではさらに任務内容に合わせて銃を持ち換えたり、煙幕、スタングレネード等の特殊装備を使いこなすなど状況描写に力が入っていますね。ぐりぐりと動かせるアニメでは省かれていたような設定でも小説という媒体だからこそ描ける装備描写は良いなぁと。制服やローファーにまで多機能性が詰め込まれてるほどにDA支給装備はハイテクの塊でした。真島さんに鹵獲されたリコリスたちの装備が解析されるだけで軍事バランスおかしくなりそうですがどうなんでしょう?まぁ世界一平和な国には関係ないことでs(ry

もう一点、都市迷彩としての一面はアニメであまり説明の無い点でもありました。「街中のどこにいてもおかしくない」という設定だけ冒頭で触れられてはいたものの、実際にどんなシーンが想定されるかと言われるとピンと来ていませんでした。作中ではカジュアルからオフィシャルまで様々なシーンに学生服が馴染む描写が挟まれており、なるほどーと頷く場面も。言われてみれば学生時代って正装と言われれば制服でしたよね。なんなら通夜とかも制服で出席するし。この設定は色々使えそうだなと。

 

②「ファースト・リコリス」千束はマジで強い

本作の主人公の1人である千束はアラン機関に見出された類稀なる殺しの天才。その異能っぷりを分かりやすく示すのが相手の動きから射線を見切って銃弾を避ける特殊スキルでした。アニメではここにフォーカスして千束の強さを描いていましたが、本作の千束はこうした特殊スキル無しにマジで強い。詳細はネタバレになるので避けますが、「ブルドッグ」(敵のコードネーム)戦で見せた身体能力や戦闘経験と判断力は「セカンド・リコリス」の中でも恐らく上位に入るであろうたきなから見ても唖然とする強さを発揮。同じくファースト・リコリスのフキの強さについてもちょろっと触れられていたので、もし続編が出るなら描写があるといいなー|д゚)

 

 

その他にも「アジア人」(こちらも敵のコードネーム。単なる人種を指す単語ではない)の設定なんかはリコリス・リコイルの世界観全体に通ずる多様性を包括した社会みたいなテーマに合致していてリコリコらしいなと。別にそうしたテーマを押し付けるわけじゃないけど、確実にそういう人は存在するよねっていう意味でもコードネームを「アジア人」にした作者は上手いなと思わされてしまいました。リコリコの世界はまだまだ広がりを感じさせてくれますよー。

追加の展開があると良いなーという期待を込めてこの記事はこのあたりで。興味のある方にはお勧めできる1冊なのでぜひ。

 

ではでは